『超速読トレーニング』表紙

ライバルに大差をつける
超速読トレーニング
すがやみつる・著
徳間書店(TOKUMA BOOKS・コミック版)
(1987年1月刊)
743円+税
 いまも静かなブームがつづく「速読術」。本当に速読なんて可能なのか?

 作者が速読教室に入門し、実際にトレーニングした体験にもとづいて執筆した速読入門書。マンガも入って読みやすいためか、初版発売から15年間もコツコツと増刷をつづけ、たぶん15万〜20万部くらいは売れたロングセラーとなりました。残念なことに2002年頃を最後に増刷もストップしましたが。

 この速読術、ベースは韓国生れの金(キム)式速読術というものですが、いかにも儒教の国・韓国らしい「丸暗記」中心の試験に対応するために生まれてきたような感じ。基本的には、「眼球の動きを素早くする」「視野を拡大する」といった目のトレーニングのほかに、「目で見たページをイメージで記憶する」という「記憶術」の要素がからんだものでした。

 自分で試した結果、確かに資料で必要なページを探す能力は上がったような気がしましたが、参考書や資料を読むならともかく、小説などは、時間がかかってもいいから、じっくり文章や行間を味わってほしいなあ、という思いがあるのも事実。とりわけ文筆を生業とするようになってからは、とくに……であります。

 そうそう。アメリカではスポーツ医学の一環として、レーシングドライバーやテニス、野球などの動体視力の向上や視野の拡大が必要な人たち向けに、「スポーツビジョン」というトレーニングが実施されているとか(現在は日本でもプロ野球選手などが導入中)。アメリカの大学でスポーツビジョンの訓練を受けてきた日本人レーシングドライバーに、テキストと教材を見せてもらったら、トレーニングの方法が速読術にそっくりでした。(2002/10/03記)
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